introduction of 'Apprenticed to a Himalayan Master' for Japanese

「ヒマラヤの師と共に〜現代を生きるヨギの自叙伝〜』出版へ向けて!内容のご紹介をしていきます。https://greenfunding.jp/lab/projects/3065

他の人々と同じように世の中で生きなさい。ー師ババジの教えとは/ ヒマラヤの師と共にーその⑨ 2019,09,27

『ヒマラヤの師と共に〜現代を生きるヨーギーの自叙伝〜』

シュリーエムと師マヘーシュワルナート・ババジ

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本書は、著者であるSri M 氏と、ヒマラヤで邂逅を果たした氏の師であるマヘーシュワルナート・ババジ、そして、その師の師であるシュリー・グル・ババジとの切り離せない深い繋がりと愛が根底に絶えず流れています。

 

師との問答、やりとり、そして一緒に時間を過ごすことでシュリーエム氏が感得した師の教えがちりばめられています。

そして、その幾つかは非常に心揺さぶる記述でもあります。本書のハイライトと言っても良いでしょう。

 

今回は、そのほんの幾つかの場面をご紹介します!

本翻訳書の師にまつわるたくさんの記述を楽しみにお待ちいただきたいと思います。

 

 師、マヘーシュワルナート・ババジの言葉

 

 なにが当時九歳だった私(シュリーエム)のもとへと彼を向かわせたのでしょう。

彼の尽きることない慈愛からでしょうか? それとも個人の生の長さを超えた、

大きな生の流れに由来する縁だったのでしょうか?

 物語の終わりに読者のみなさん自身にこの答えを決めていただきたいと思います。

 私の師、ババジは言いました。「物事をシンプルで率直に伝えなさい。

複雑な理論や深淵な神秘を装うことなく、他の人々と同じように世の中で生きなさい。

偉大なものは決して宣伝されることはない。その存在に近い人達は、自らお前を見つけ出すだろう。

友人や知人たちの見本であれ。世の中で幸せに生きながらも、尽きることない力、

そして無限の意識の恩寵とのつながりを保ち続けるのだ」。

 

 ババジとの暮らし

 

 ババジと暮らしはじめてから、私は人生ではじめて食べ物の有り難みを知りました。

そして料理の仕方もこのときに学びました。食事はとても質素なものでしたが、

調理は完璧にしなければなりませんでした。野菜の切り方からお湯の沸かし方まで、

一部を適当に済ますことは許されませんでした。あるときババジは言いました。

 「野菜をちゃんと切れず、ご飯もちゃんと炊けない者が、一体どうやって

究極の真理に到達できるというのだ。

 それでは朝から晩まで嘘まみれの人間が、自分はサッテャ(真実)を語っていると言っているようなもの。政治家でさえも「サッテャム・エーヴァ・ジャヤテー(真実が勝つ)」と口先だけで言うものだ。

 日常生活を完璧にするところからはじめなさい。それが究極の真理へ至る道だ」。

 

③ マサラ・ドーサ事件とババジ

 

 アルンダティ洞窟で二つの出来事が起きました。一つ目は私がドーサ事件と名付けた出来事です。洞窟での滞在の最終日の朝に、私はある行法に取り組んでいました。眉毛の間の中心部分にある、白い二枚の花びらをもつ蓮の花に意識を集中させるものです。アーニャー・チャクラというエネルギーの集中箇所を覚醒させるためのクリヤ・ヨーガの修行です。しかし、どれだけ試しても、なぜか大好物の朝食である南インドのマサラ・ドーサが頭に浮かんできてしまうのでした。このときはじめて、自分がどれだけドーサを好きだったかを私は知りました。もはや依存症のようで、力を尽くして抵抗しましたが、なかなかドーサのイメージは私の頭を離れないのでした。

 ババジが私の方に歩いてきて、私の肩に触れてから言いました。「何を対象にして瞑想しているのだね?」私は答えました。「アーニャー・チャクラです」。彼は笑い出しました。「そうかね?それはマサラ・ドーサの形をしているのかな?」

 私は言いました。「ババジ、お願いです。あなたが私の意識の内容を知っているのはわかっています。笑っていないで助けてください」。

 

④ マヘーシュワルナート・ババジと老僧との会話

 「これまで蓄積した知識であなたの意識はいっぱいになっていて、

既にそこにある真理を受け入れるための空間が今のあなたにはない。抱えている重荷を下ろしなさい。全ての荷物を投げ捨て、空っぽの状態となりなさい。そうすれば溢れるほどのものを受け入れることができる。

 絶対の真理は決して過去にあるものではない。この真理は永遠の現在にのみあるのだ。真理は現在、この瞬間に、生の躍動と共に永遠と流れているものだからだ。

 甘美な、聖なる風が通り抜けるためには、プライドと借り物の知識で曇っている窓の付いた扉が解放されなければならない。

 私の言っていることは理解できるかね? あなたに会うことはもうないだろう。私たちは数日後にはゴームクに発つのでね」。

 

 こう言い残して、ババジは立ち上がり、私たちは老僧にお別れを告げました。

涙を両目に溜めた老僧はババジの足元に伏して敬礼をしようとしましたが、ババジは彼の肩をおさえて止めました。

 「あなたはサンニャーシンで、黄土色の衣を身に着けている。加えて、あなたは真摯な男であり、世間的な基準から言えば私よりも年上だ。なのでひれ伏しての挨拶などは止めなさい。私への敬愛の念はあなたの目を見ればはっきりとしている。それで十分だ」。

 

 去っていく私たちを見送りながら、彼はガンジス川の川岸に立っていました。

「ババジ。私も真理へと導いてください。今日は深い学びを得ました。あなたはとても親切な人です」と私(シュリーエム)は言いました。

 ババジは笑い声を立て、右腕で私の肩を抱えて言いました。

「全ては適当な時期にもたらされるだろう。木曜の朝にはゴームクへ向けて出発だ」。

 

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シュリーエムの描いたマヘーシュワルナート・ババジ